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更生を考える本

「女性受刑者とわが子をつなぐ絵本の読みあい」
村中李衣 中島学 かもがわ出版
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村中李衣さんに出会ったのは高校生の時の進路指導なのでかれこれ四十年近く前になります。

当時から児童文学の書き手であり、長期入院患者の子供に絵本を読む活動をしていたと記憶しています。しかし私は長いこと絵本を読むと言うのをある種の慈善活動というかボランティア的なものとして受け止めていたように思います。私は絵を描くのは大好きだったくせに子供のとき絵本をあまり与えられてなくて、絵本を飛ばして児童文学を読んだので、絵本を読むことに特に思い入れもなかったのです。お恥ずかしいですが、そして今更ですが絵本が持つ力に慄くことになります。

今回の本を非常に興味深く読んだのは、絵本の読み合いを受刑者の更生プログラムとして活用したという点。
犯罪被害者になって以来、受刑者の更生プログラムにについて知りたいと思っていました。一体何をどうしたら法に触れる行為をしてしまう人が社会に復帰できるようになるのか。変わるってどういうことなのか。

本の中で再現されているプログラムの様子は実に繊細でした。
離れて暮らしている自分の子供に向けて絵本を読み、録音して届けるという試みの中で
声に出して読んだときにどこに躓き、違和感を感じたかを汲み上げ、受刑者が抱える屈託や葛藤に寄り添い、
グループのみんなで一緒に考え、乗り越えて読み、録音を完成させる。

長年絵本を読んで読み合ってきた李衣さんだからこそ、些細な変化に気づくことができることも多いように思え、プログラムとして多くの人が使うことができるのか疑問に思う部分もあります。けれども
こうして築いていくのか……と胸に迫るものがありました。

試しに自分でも絵本(ショーン・タンの「いぬ」)を声に出して読んでみたりして。やっぱり声に出して読むというのは黙読とは全然違う、身体を使う実に面白いものなんだなと知りました。

使用する絵本のセレクトには相当気を遣っていて、家族というものに負の感情を持つ人でも共感できる内容のものを厳選。父母がペアになって出てくるもの、家族団欒、母親が家事をしているシーンなどがあるものなどは慎重に検討したとのことです。
ぜひ多くの人に読んでほしい本です。

刑務所は罰して懲らしめるところというイメージがありますが、
それでは出所しても社会復帰できずに再犯して戻ってきてしまう。
更生教育をいかにしていくかが、これからの鍵となると思っています。

その中で、性犯罪やストーキングなど新たな被害者を絶対に出さないためにも、専門の更生プログラムが絶対に必要なのだと思っています。

by riprigandpanic | 2022-12-22 15:20 | ストーカー規制法関連


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