またまたご無沙汰しております。すみません。 こちらの本も、随分前に読み終わっていたのですが、感想を書く時間が取れず。でした。 今年こそは仕上げたい仕事ばかりで、あたまがいたいです。 もういっそヤギになりたい。 そう思う人がこの世に私以外にいたのかと驚いた次第です。 とはいえ作者は最初は象になろうとしていたみたいですが。 大きさと、そして象はストレスを抱える動物らしいということで、 ヤギが選出された。ヤギになって人間の悩みから解放されたい。 ヤギと同じもん食べて、同じように4足で歩いて、 そして人間固有のくよくよしちゃう脳機能のスイッチを切れば ヤギに近づけるんじゃね? という素敵な発案を 愚直に実行に移してゆくトーマス。 例えば、私たち哺乳類は進化の過程で分化したけど骨の数も名前もほとんど一緒だ とかいう話、私は解剖学者の本で読んだのかな、感心/感動/納得してしまう言葉です。 反芻動物の、第一胃の中には、たくさんの微生物がいて、それが草を消化吸収できる栄養素に分解してくれるというのも、 その一つ。胃の中に牧場があるようなものだと。 それはもちろん科学的に立証された厳然たる事実に基づいた比喩である。でも、 上記のような言葉になることで、一つの完結した物語になってしまう。知的感動を呼ぶ装置発動、みたいな。 発言する科学者は、もちろんそんなつもりもないし、彼らは科学的な思考を常備しているから 一般の読者がそれをどう受け取っているかなど、斟酌しないだろう。そう、受け取る側の問題です。 私たちはネズミも人間も骨がおんなじというところだけ、ヤギの胃の中には草を消化できるすごい微生物がたくさんいるという ところだけを切り取って、引き出しに入れてしまう。そして考えるのを終わらせてしまう。 まあ、科学者じゃないから仕方ないかと思わなくもないけれど、それでも知らないよりはマシとも思っているけれど、 科学的読み物を読むたびに、この途切れてしまう感じに、もやっとしていた。 トーマスは、そこを引っ掻き回して、無理やり発展させて仮説を作る だったら草をヤギの第一胃の中の液に浸したら、人間も消化吸収できるようになるんじゃね?と。 ものすごく乱暴だけど、そうだよそうだよ、トーマスよく言った、と嬉しくなって 大笑いしながら読んでしまった。 最先端の研究施設を訪ね、研究者の協力を得て、 自分の身体を使って彼の考える「ヤギ」に近づいていくトーマス。あんまり近づけなかったとも言えるけど、 それはつまり、人とヤギの間には、ものすごーーーーーい違いがあるってことに、他ならない。 それがわかることは、私個人にとってはちょっと切ないことでもあったけど。 作中トーマスの行動で一番羨ましかったのは、アルプスのヤギと1日一緒に歩いたこと、でしょうか。 私も歩いてみたいなあ。二足歩行で十分ですけど。 ヤギの生態について書かれた日本語の本、すごく少ないです。 トーマスは随分ヤギについての資料を読んでいて、端々にヤギの生態についても触れられています。 ヤギ飼いの方も是非。村井理子さんの訳文もとても楽しくわかりやすいです。 それから余計なお節介かもしれないけれども、もし 人間のくよくよした悩みを忘れたければ、ヤギと一緒に寝るのも一興です (トーマスにもお勧めしたい) だんだんヤギっぽくなってきて、いろいろなことを忘れて、 人間の世界に帰れなくなってしまいそうになりますけど。 それでよければ。。。
by riprigandpanic
| 2018-01-17 11:55
| ほんっ
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