ありがとうございました。

ゴロウ・デラックスを見てくださった方、ありがとうございました。

番組で紹介していただいた『身体のいいなり』
というエッセイは、(と自分のブログで説明するのは初めてです)

身体のいいなり

内澤 旬子 / 朝日新聞出版



乳癌体験を中心としておりますが、

まえがきに断ったように、乳癌について調べまくって自分にとって最善と思える治療をしたわけではなくて、ほとんどなんも調べずに、ごくごくいきあたりばったりに出会った病院で治療を受けてるだけなので、「ここにいけばいいんだ! こうしたらいいんだ!!」というような直接に参考になるような情報は、正直あんまりありません。

しかもそれなのに結構それなりですがなんとかなって、癌になる前より身体が元気になっちゃって、そしたら気持ちも浮ついてお洒落なんかしちゃって、仕事もなぜか入るようになり、というきわめて異常な事態につきすすんでゆくという我ながら「オカルトか」と思わなくもない体験記です。

いちおうノンフィクションという分野のすみっこで仕事をしているのに
なんで自分の病気について、治療方法について、どの先生がどんな方法をとっているかについて、しっかり調べようとしなかったのかというご意見もありましょう。
理由は簡単、ものすごく気持ちが腐っていたからです。

腐りすぎて癌が育ったのか、癌が育ってさらにやさぐれたのか、くわしくは本を読んでいただければと思います。癌はある意味大変恵まれた病気でして、現在でもたくさんの治療方法があります。それで完治するかどうかは別として、治療方法や薬はこの先もどんどん増えるでしょう。罹る人が多いのでモトがとれますから研究開発のための費用も集めやすいんじゃないでしょうか。罹患数の少ない難病患者の方々に対して申し訳ないと思ってしまうくらいです。

ただあまりにも情報が多いので、迷います。贅沢な悩みかもしれませんが、深刻。保険が適用されない、高額な治療方法もたくさんあるから。そういうものをひとつひとつ吟味してさみしい懐具合とも相談して、決める。ってのが、正直面倒でしたし、迷いまくって低調な精神の具合をさらに悪化させる様子がありありと想像できたので、も、あえてなんも調べないということにしました。あ、みていただいた先生に質問したりはしましたけどね。

正しいかといわれりゃ、間違ってますよ。そりゃ。
でもそれしかできないと思ったからそうしただけです。

という状況で、かかった金額なんかを正直に書いたりしているわけです。

テレビという限られた時間ですと、どうしても仕方ないですけど、私の言いたいニュアンスを全て伝えることはできません。番組としては、乳癌の経緯と費用のアウトラインをちゃんと紹介したいと思ってくださったようで、それはそれでもちろん本の骨子のひとつなので、ありがたいですし、乳癌についてまるでご存じない視聴者もいらっしゃることを考えれば、それを最善としたご判断は正しいとも思います。

が、
念のために、念のために、念のために(くどい)
付け加えれば、同じ病状であってもけっこう違う治療方針をとられた方もたくさんいるはずです。ですんであくまで一例、それも最善かどうかも謎、なものとしてとらえていただければと思います。私自身が最善と考えていたわけではないし。自分でできた限界、というほうが近いかな。

番組で最善と言ったわけではないのですが、受け取り方によってはと危惧はしております。

あの、本をよんでいただければそのあたりのこともわかっていただけると思います。はい。


で、ここからは番組に入らなかった番外編。
南雲先生を訪ねて(あたしは治療していた頃は、この方は美容整形の専門医だと勘違いしていたんだが、乳房再建だけでなく、乳癌治療もきちんとやっている、おっぱいの専門医だったことを知って、ロケ取材に行くことにしたんでした)、これまでの経緯を話して、ろくに調べないで治療をうけて(しかもそれで本を書いたことに対してだと思うんだけど)おもいっきり驚き呆れられました。

しかし先生、あたしは癌になる前からいろいろあって生きる気力はほぼなかったし、そんなで根性入れて調べる気力なんざ、かけらもありゃしませんでした。そういう患者さんはいないんですかと重ねて尋ねました。

したらば、
やっぱり癌と聞いてしゅんとなって気力を失っているひとも多いと。

それでもなにがなんでも調べなきゃいけないんでしょうか。とたずねると、

まわりの誰かに調べてもらうことを薦めますと。

それって家族ってことですか

んーおせっかいな女友達とかがいいね。まわりに一人くらいいるでしょう。

旦那は

だめ(切り捨てるように)。たいてい役に立たない。僕がみて来た限り、新婚以外で旦那がちゃんと支えになってた患者さんはほとんどいないなー

母親は

難しいですね。娘より取り乱してしまう場合が多くて、「あたしがもっと丈夫に生んであげられたら」などと言いだして、返って患者さんが落ち込んでしまうことがおおい。

あまりにも自分に当てはまってびっくりしましたよ。はい。目から鱗が落ちました。

危機的状況になったときにも自分で自分の病気の専門知識を調べ続けるタフさを持つことも大事かもしれませんが、たよりになるおせっかいな、甘えられる、女友達をもつこともそれ以上に大事なことかもしれません。もちろん関係の薄いひとから相談されればあまり立ち入ったことまで助言は当然できません。乳癌は、いままでどんな生き方をしてきたのか、そしてこれからどう生きたいのか、そういうことがすんごく治療に関わってくる病気なので。

私は当時そういう近い距離に友人もあんまりいませんでした。偏屈なもんで。持つべきものは女友達、なんですねえ。

ま、自分のこれまでを後悔してもしょうがないし、これっぽちも後悔してませんが、そうですね、自分の周りの信頼している女友達がもし乳癌になったら、あたしがおせっかいしようと、それだけは心に決めたのでした。

南雲先生、ありがとうございました。

ながくなったので、
スタジオトークでの番外編は次に。。。
by riprigandpanic | 2011-06-18 01:47 | どうでもいい日常


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