新月に

山本周五郎の「薮落とし」

赤江瀑の「金襴抄」

という短編小説が好きだ。
この二編に関しては好きと軽く言うのが憚られるくらい好きだ。

大雑把に言えば
前者は鉱脈をあてることに取り憑かれて家族を文字通り犠牲にしてさらになお
あきらめきれずに山をさまよう老人の話で
後者は過去の栄華を忘れられずにその残照を捨てきれずにいる母のために
犠牲になる子どもの話だ。

なぜこの二話に揺さぶられ続けるのか
あんまり考えたこともなかったのだが、

ある人の訃報を知り
得心した。

冥府でその夢から解放されるのだろうか。
周囲に築き上げた負の感情もなにもかも
すべてが無に帰することを祈りたく、

あたしゃ
たぶんかつてないくらい真剣に般若心経を唱えそうだ。
by riprigandpanic | 2011-02-03 12:26 | どうでもいい日常


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