2008-07-17 ソフトバンクのカイくんには及ばないものの 編集
■[屠畜] 「ブタがいた教室」前田哲監督/妻夫木聡主演 日活 の試写に行ってきました。 実話に基づいてるそうです。実話の方はドキュメント番組になっていろんな賞をたくさん受賞したようです。プレスシートをどこかに忘れてきたので雑駁で申し訳ないです。 小学六年生。クラスで子豚(生後二ヶ月)を飼って、育てて食べようと新任の先生が提案。先生を演じるは妻夫木聡。 実話の方ではこの先生、賢治の学校率いる鳥山敏子氏のもとで屠畜体験学習を学んでいたもよう。 (あとで本を読んだら、鳥山氏の活動を本か何かで読んで知ったとのことでした。学んだとは云えないかもしれません) 交代で豚小屋を掃除し、残飯を集めてやる。児童の主張によって豚はPちゃんと名付けられる。さまざまな苦労ありつつも、豚はどんどんペット化していく。児童たちはだんだんPちゃんを食べたくなくなって来る。卒業の日は近づく。次のクラスに引き継げないか、農場や動物園に寄付できないか、それはあまりにも無責任ではないのか。クラスでの話し合いが延々と続く。 授業の進め方について、豚のあつかいについて、描き方について、いろいろ突っ込みたいちゅうか言いたいことはありますが、なにぶんベースに「実話」ありきですし、この映画の主眼はあくまでも子どもたちが愛玩した豚の処分について真剣に考え話し合うところにあったわけですから、いいんじゃないですかね、それで。としか言えません。 あんまり言及して「じゃあおまえやれ」とか言われても困るし。あたしゃ教育者じゃないんでね。 要するに豚を食べるとこまではほど遠いのですよ。それは都会に住んでる子どもたちにとってはごく自然ななりゆきです。飢えてもいないのに愛玩した動物を食うことは、難しいでしょそりゃ。だから話が「処分」になってしまう。「食肉センター」も「保健所」も同じことになってしまう。児童たちもそれを自覚していた発言もあった。 飼育から屠畜までの距離の遠さをあらためて感じまた。 ま、なによりもの不満は、担任役の妻夫木聡。葛藤がみえないのだ。最初から最後まで能天気。いまどきのセンシティブな男子の微笑を浮かべるだけ。恋愛ものならそれも素敵に見えましょうが。彼が豚を飼ってみんなで食べたいと思う必然性がまったく見えないのだ。たんなる思いつきで豚連れてきたようにしか思えない。ボヲダホンいじって微笑む顔と変わらんとまで言ったら言い過ぎか。この人って大根なの?? よく知らないけど、人気あるんだからもっとうまいのかと思ってた。 それに比べたら児童26人の演技はたいしたもの。豚への思い入れがひしひしと伝わって来る。話し合いのシーンは長大だが、みんなの顔があまりにも真剣なので、見入ってしまう。まあ、このシーンがあるだけで、子どもに見せる価値は、あるんじゃないでしょか。 授業として使うんならば、肉としてどのように屠畜され、切り分け、すみずみまで利用するのかも、ちゃんとレクチャーしてほしいし、料理の方法なんかもフォローしてほしいですが。 ああそうだ、なぜ巨大化したPちゃんは、どこの農家からも引き取りを拒否されたかについて。理由が何もでてこない。あくまでも私が農家の話を聞いた範囲での類推ですが、まずね、農家の豚は徹底した衛生管理下にあって、外部からの人間も近づけたくないくらいなんですね。それをどんな水を飲んだのか、どんな餌を食べてきたのか、履歴のわからない豚を同じ飼育舎にまぜて入れるわけには、そりゃいかないでしょ。それに肉質も全然不安定なものなので、引き取って出荷しても、儲かるのかなあ。手続きなどが煩雑なだけになるのでは? 食の安全とは、そういうことなんですね。本来ならばそれも合わせて学ばせた方がいいと思いますけど。保護者込みで。 豚は、かなりかわいかった。足が、十センチのピンヒールはいてるみたいに見えるんだよね。それにしてもでかくなるよなー、豚。
by riprigandpanic
| 2009-04-22 15:16
| どうでもいい日常
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