塩味の奔馬

延々とのばしていたペーパードライバー教習。
今日ようやく講習を受けました二コマ。

マニュアル車だし、免許とって二〇年運転してないし、
なもんでね、

松坂大輔みたいな好青年先生が明るく
「どういう事情で?」と尋ねてきました。
ほかの先生は結構かなりいろんな意味でいっちゃってる外見の方が多い中、
とても普通な先生についていただきました。
ホッとするやらネタにならんと舌打ちするやら。

バツ2なんだけどようやく農家に嫁に行くのだ、とか
アルツハイマーな母の介護で田舎に引っ込むのだ、とか、
夫がアメリカの大学に招聘されたのだ、とか、

そういう嘘をちゃんと構築してくりゃ良かったんですが、
運転で頭パニックになることとがわかってんのにそんな嘘つけそうにないっす。
ええ、ホントに小心者なので。

で、ライターでして、地方に短期間住んで農家の取材をするんです。
と。嘘ではない。真実だ。

そしたら先生が喜んでしまって。
え、ライターさんなの??と。
ええ、ああ、まあ、すいませんと。同業の皆さんはこういうときどうやってしのぐんでしょうかね。アタシはホントにいくつになっても慣れないんですよ。カタカナ商売のイメージというものに。誰よりもカタカナ商売なんて胡散臭くて最低のどうしようもない社会のクズだと思っているので。しょうがなくてイラストルポライターとか名乗ってますけどほとんど自虐でしかありませんから。

人様から喜ばれたり憧れ目線を投げかけられたりするとあたしの血中塩辛濃度がぐんぐんあがってしまうのです。無意識に。

「え、普段はどんなルポをやってるの? ケーキ屋さんとか??」
先生、車線変更と右折と信号待ちの時にそんなこと聞くんですか。動揺してウィンカー出し忘れましたよ。
「いやあ、そんなかわいらしいものはだれもアタシに振ってくれませんや。こないだはストリップ劇場にいってきましたが」
ああああ、嘘ではないが、なぜそれを云うあたし??もっと無難なもの、なにかなかったかしら??…………ないか、ないね。トイレっていうのもねえ……。おやじっていうのもねえ……。もちろん屠畜はもっと説明が面倒くさい。そう、恥じてはいないが、説明が面倒くさい者ばかりなのだよ。運転の合間に説明なんてできないよ!!

自慢じゃないがルポやって十六年、スイィーツの取材は一回だけしかないのに風俗関係の取材は、風俗ライターを名乗ったこともないのに、結構あるんだよこれが。

あきらかに動揺して咳き込む先生。ああすいません。
気を取り直して
「先生、風邪苦しそうですね。花粉症と間違えたんじゃないですか」
「そう、花粉症かと思って放っておいたら風邪だったんだよ」
「そういうひと、多いのかも。今日のよが教室も先生がそれでお休みになって」
「へえ、よがやってるんだ」
「ええ(お、まともな会話になれたぞ)」
「身体柔らかくなります?」
「ずいぶんやわらかくなりましたよ」
「へー俺もやりたいなあ。でも女の人が多いんでしょ。先生も女の人でしょ」
「たしかに男の方は形見狭そうですね。更衣室も狭いし。でもうちの先生は男ですよ」
「え、男なの。それ嫌じゃないの」
「だってゲイだし。てーか、よがやってる男性の八割はゲイって説もあるんですよ」
はっ
またやっちまった!!
いやあああああ。
また話がしょっぱい方向に……。
好青年と交わす会話、む、むずかしいよう。
やっぱり、バツ2で農家に嫁に行く話を作り込んで行くべきであったか。
ああー。

しかし先生はとても親切に教えて下さり、エエ市生活に光明が見えて来たのも事実。
ホントに教習所って変わったんだなあ。昔は怒鳴られっぱなしでねえ、トラウマでした。無線教習で右行けと云われて左に行って罵倒されたしな。
何一つ論理的に教えてくれなかったし。車の構造とかタイヤの位置とかさあ。
今は客商売だから怒鳴ったりする先生なぞいないらしい。

そういえば免許とってから父に隣に乗ってもらい、運転したときも、父に怒鳴られたのであった。
アタシは子どもの時から両親に怒鳴られ怒られ続けて来たはずなんですが、どうも慣れることなく育ったようで、怒鳴られるのが相当苦手みたいですね。しかし生涯で罵倒と同義で怒鳴られたことって両親と自動車教習所と、取材先の某団体くらいなわけで、そんな人生だからこそ打たれ弱くもなるというか、怒鳴られたことに対しての嫌悪が消えないというか。挨拶代わりに怒鳴る人もいるのですから、そんなことではいけないんでしょうけども。

それはさておき、優しく教えてもらって感動しましたよ。優しい人はいい。
なんとかなりそうな気がして来たもん。
クラッチとか、たのしいもん。エンジンの音をちゃんと聞き取るの、たのしいもん。鉄でできた馬に乗るんだと思ってる。
絶対乗りこなしてみせる!!
by riprigandpanic | 2009-03-22 23:17 | どうでもいい日常


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